目指せ黒帯! 益嶋裕の日本株道場(13) 株価指標「PER」の見方と活用法

目指せ黒帯! 益嶋裕の日本株道場(13) 株価指標「PER」の見方と活用法

皆様こんにちは、マネックス証券の益嶋です。「目指せ黒帯! 益嶋裕の日本株道場」第13回をお届けいたします。本コラムでは、「これから投資を始めたい」「投資を始めてみたけれどなかなかうまくいかない」といった方向けに、投資家としてレベルアップするためのいろいろな知識をお伝えしていきます。今月もまずは最近のマーケット動向を簡単にご紹介します。

いまだ貿易戦争に振り回される日本株

前回のコラムが掲載された8月29日時点で、日経平均は2万2,848円でした。今月のコラムを書いている9月27日時点での日経平均は2万3,796円と、この1カ月で大きく上昇。引き続き米中の貿易戦争はリスク要因として意識されてはいるものの、両国が交渉を継続する姿勢を示してきたことや安倍総理が自民党総裁選に勝利した安心感などから、徐々に悲観ムードが和らぎ株高に繋がりました。日経平均は2万3,000円の節目に4度跳ね返されてきましたが、5度目のチャレンジでついに節目を突破。その後は勢いよく上昇し、9月26日には2万4,000円を回復しました。2万3,000円を回復したのち、わずか6営業日でのスピード上昇です。このまま株高が続いていってほしいものです。

日経平均の推移 (出典:マネックス証券ウェブサイト)

基本的だけど奥が深い大切な株価指標

では今月も本題に入っていきましょう。
このコラムをお読みいただいている方であれば、「PER(ピーイーアール)」という指標を聞いたことがあるかもしれません。日本語にすると「株価収益率」ですが、漢字を見てもなんのことかよくわかりませんよね。PERとは、企業の価値(時価総額)が企業の稼ぐ純利益の何倍に当たるか、ということを示しています。

例えば、時価総額1,000億円の会社Aがあり、その会社の稼ぐ純利益が100億円だとすると、「1,000億円÷100億円=10」でPER10倍ということになります。また、時価総額を発行済株式数で割り算し1株あたりの価値に直したのが株価ですので、純利益も発行済株式数で割り算して1株あたりの値に直し、「株価÷1株あたりの純利益(EPS、イーピーエス)」の計算をしても結果は同じことになります。

PERを投資に活用する場合、いくつか気をつけたいポイントがあります。まず、「実績PER」と「予想PER」の使い分けです。2つの違いは何かというと、計算に使う純利益を「実績の利益」にするか「会社が発表している予想の利益」にするかということになります。

例えば、家具の製造販売を行っている「ニトリホールディングス(9843)」の9月27日時点の株価は1万6,500円です。実績の1株あたり利益は574.49円、会社が発表している予想の1株あたり利益は606.26円です。
実績PERは「1万6,500円÷574.49円=28.7倍」、予想PERは「1万6,500円÷606.26=27.2倍」です。

どちらを使えばいいかという疑問がわきますが、基本的に株価は将来の企業の業績を見に行くので、予想PERの方を使うようにしましょう。ただ、証券会社など市況の影響が大きい企業は業績の予想を行っていないケースもあるので、そうした場合には実績の利益を参考値として使ってください。

PERをどう活用するか?

PERが便利なのは、異なる銘柄の割高・割安を同じ土俵で比較できる点にあります。例えば、9月27日時点の「トヨタ自動車(7203)」が今期に稼ぐ見込みの純利益は2兆1,200億円、「日産自動車(7201)」は5,000億円です。純利益の金額だけを見ると、トヨタは日産の4倍以上を稼ぐ予想となっています。

ではトヨタの方が投資魅力が高いかというと、単純にそうとは言えません。トヨタの予想PERは9.6倍、日産は8.2倍なので、PERの観点から言うと日産の方が割安ということになるのです。(だから日産を買えばいい、とこれまた単純にそうならないのが株式投資の難しい点であり面白い点なのですが……)

このように、PERは会社間の“横の比較”をするのに便利な指標ですが、もう1つの視点として“縦の比較”もご紹介したいと思います。

PERの縦の比較とは、ある銘柄の現在のPERが過去のPERと比べてどのような水準にあるかチェックするということです。以下のグラフは、ファッションECサイト「ZOZO TOWN」を運営する「スタートトゥデイ(3092)」の過去からの予想PERと株価の推移を示したものです。

スタートトゥデイの株価と予想PERの推移 (出典:マネックス銘柄スカウター)

現在のスタートトゥデイのPERは約38倍とかなり高い数値ですが、過去には50倍を超えていた時期もあり、現在のPER水準は過去2年間の中ではかなり低い水準にあることがわかります。単純にPERの数値だけを見るととても高い印象がありますが、過去からの推移を見ると「スタートトゥデイのPERが38倍なら買ってもいいかもしれない」というような投資判断もありうるというわけです。

ご紹介したように、PERは“横の比較”と“縦の比較”の両方を行うことで投資成果につなげられるものなのではないかと言えます。ぜひ参考になさってください。
今月も最後までお読みいただきありがとうございました。ではまた次回!

執筆者プロフィール : 益嶋 裕

マネックス証券 マーケット・アナリスト兼インベストメント・アドバイザー

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。2008年4月にマネックス証券に入社。2013年からアナリスト業務に従事。2017年8月より現職。現在は「日本株銘柄フォーカス」レポートや日々の国内市況の執筆、各種ウェブコンテンツの作成に携わりながら、オンラインセミナーにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員。
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